歪み系とは


1.歴史

 エフェクターは元来、音を整えたり美しくする事を目的としていました。 これに対して歪み系は最初から音を変化させる事を目的に作られました。 音色の修正ではなく、それ自身が楽器の一部として開発されたのです。 こうした歪み系エフェクターは「音を破壊する」事を意図して制作させています。 言い換えれば、ギター以外の楽器でも歪み系を強くかけてしまえば出てくる音に大差はなくなってしまうのです。
 こうした歪み系のエフェクターが1960年代以降、 急速に発展したのは同時期にロック・ミュージックが急成長した事と深く関係しています。 そして1070年代以降パンク・ミュージックでも重宝されるようになり、 1990年代になってからはギタリスト以外にもDJなど多くのクリエイターが音作りを活用するようになりました。 現在のポピュラー音楽においても歪み系エフェクターはなくてはならないものになっており、 エレキギターと歪み系エフェクターとの抜群のコンビネーションはその筆頭ともいえる重要性を有しているのです。




2.歪み系の実態

 歪み系エフェクターを客観的に理解する上で欠かせないのが倍音です。 実は、楽器または声などで音を出すとき目的の音(周波数)が発するのと同時に、 その音の整数倍の振動数にあたるいくつもの音が自然に鳴っているのです。 本来の音を基音、それ以外のものを倍音と呼びます。 基音に対する振動数の倍数に応じて第二倍音、第三倍音などと呼び方を変えていきます。 弦楽器の場合は弦の振幅により、管楽器の場合は管内の空気が部分振動を起こす事により倍音が生じるといった具合です。
 歪み系のエフェクターはこの倍音の音波形を崩す事によって成り立っているのです。 各倍音に±aの音波形の成分が加わる事により音が濁り存在感が増します。 極端に歪みを強くしてしまうと音程が不明瞭になる理由はこれに起因しているのです。 つまり歪み系エフェクターの実態は倍音の崩し方によって個性が生じるのです。 低音の倍音成分に絞って強く歪ませるエフェクター、全範囲均等に柔らかく歪ませたエフェクター等々、 様々な歪み系エフェクターが開発されてきたのです。

       


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