マルチエフェクター


1.概要

 マルチエフェクターとは、1台でいくつものエフェクターの役割を果たす事のできる万能な機材です。 大別するとマルチエフェクターには2種類あります。
 ひとつ目は、1台のエフェクターの内容が様々なタイプのエフェクターに変容する旧式の機材です。 スイッチやプログラムを切り替える事で1台のエフェクターがリバーブやディストーション、コンプレッサーといった全く異なった タイプのエフェクターに変化する、といったものです。これは80年代後半のデジタル技術の急速な進化によって可能になったもので、 実際には何種類もの異なったエフェクター回路を内部で切り替えているわけではなく、1台のDSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)が、 選んだプログラムに応じて様々なタイプのエフェクターをシュミレートしている、といった構造です。 しかし、このタイプはエフェクターの回路はあくまで1台分なので複数のエフェクターを同時にシュミレートして使用する事はできません。 リバーブのプログラムを選んでいる時は、あくまでリバーブ・エフェクターとして使用する事になってしまいます。
 ふたつ目は、複数のDSPを一つに収めたタイプです。  元々はギタリストが自分のお気に入りのエフェクターの回路を改造して一つのエフェクターにまとめた事が始まりです。 現在はエフェクター(DSP)同士の接続順や個々の設定内容をプログラムごとに保存する事も可能で、 複雑なセッティングをすぐに呼び出せるようになっています。

 複数の単品エフェクターを接続して演奏する場合、セッティングに時間がかかり、曲ごとに設定を変える必要がある。 そして配線が複雑化する程、音色は劣化し接触不良等のトラブルも起こりやすくなります。 その点、マルチエフェクターはあらかじめ音作りしたデータを複数保存できるので、 保存データを切り替えるだけで音色変更を簡単・確実に行なえます。 そして配線もシンプルにできるので音色の劣化が少なく、ノイズの発生も起こりづらいのです。 接触不良等トラブルのリスクも極限まで低くできます
 しかし、残念ながらマルチエフェクターにも短所はあります。一つ目は、操作が複雑でメーカーごとに操作性も異なるため 使いこなせるようになるまで時間がかかる事です。単品エフェクターなら2・3個のツマミを調整するだけで魅力的な音色を作れますが、 複数のエフェクターを同時に使用するので、どれを修正すれば目的にかなった音になるのか迷ってしまいやすいのです。 操作に慣れる必要があるのはもちろんの事、各エフェクター(DSP)が音(波形)に及ぼす影響を客観的に理解している事が求められてしまいます。
 二つ目は、好みのエフェクターを自由に組み替える事ができない事です。 同じディストーション系のエフェクターでもメーカーや機種が異なれば音色の違いがあるため、各エフェクターの組み合わせがプレイヤーの個性になっている場合も多いのです。 マルチエフェクターの場合、DSPに組み込まれているディストーションしか再現できないのです。 近年では制作技術の向上により1台のマルチエフェクターに何十種類ものディストーション、プリアンプ等が用意されているので 自由度は格段に高まっているのですが、やはりそれだけでは満足できないプレイヤーも少なくないようです。

 このような特徴を持っているマルチエフェクターですが、心臓部ともいえるDSPの製造コストが下がったため本体価格が非常に低くなりました単品のエフェクター数台分の金額で購入できるので、非常に高いコストパフォーマンスを有するようになりました。 多くのギタリストがマルチエフェクターを1台は所有している事が多いのもこれに起因しています。 操作の複雑性も慣れればいいだけという考え方もできますし、音色の質も過去に比べて格段に改善されているので「音作りの勉強・実験」に限らず、 実戦レベルでの活用も十分に可能です
 そのような理由から始めに購入するエフェクターは「マルチエフェクター」を強くおすすめ致しています。 音色作りに理解が深まり、こだわりたい箇所が出てきた時に単品エフェクターを買い足す事もできるからです。



2.基本操作

 マルチエフェクターは多種類のエフェクターをシュミレートしているので、 単品エフェクターのように一つのツマミに一つの役割を持たせていてはツマミの数が膨大になってしまいます。 そこで、呼び起こしたプログラムに応じてツマミの役割を随時変えて操作を行う 「パラメーター呼び出し方式」を適用しているのです。 これによりパラメーターがどれだけ増えても、全てのパラメーター操作が可能になります。 欠点としては、音色の訂正を行うのに任意のパラメーターを呼びしてから数値を直さなければならなくなるため 直観的な修正ができず、操作性においては単品エフェクターに一歩及びません。 ツマミの数や操作方法はメーカーや機種によって異なるので、この「操作性」もマルチエフェクターを選ぶ上では 考慮するポイントに含めてもよろしいかと思います。




3.おすすめマルチエフェクターTOP3

(1)BOSS GT-100

 各単品エフェクターで数々の名機を作り出してきたBOSS社の最新マルチエフェクターコーラス等の特殊なエフェクター類のクオリティは他社に追随を許さず、 プリアンプ・歪み系においても更なるクオリティの向上が図られており、数多くのプレイヤーに評価されています。 デュアルモニターによる操作性の向上も図られています。

   




(2)POD Line6

 プリアンプのクオリティの高さで名声を得たPOD社のマルチエフェクター。 歪み系のエフェクターに強いこだわりのあるプレイヤーでも臨場感のある音色が容易に作れるので 購入満足度が非常に高いです。

   




(3)BOSS GT-10

 「BOSS GT-100」の先代機にあたります。最新モデルが出ているため価格が下がりましたが クオリティの高さは十分満足できる名機です。プリアンプの種類はGT-100よりも豊富で自由度の高い音作りが可能です。 歪み系の音色に賛否がありますが、イコライザーを使いこなせるプレイヤーであれば臨場感のあるサウンドも自在に作り出す事が出来ます

   


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